自由の実践

ミャンマー(ビルマ)の民主化運動指導者アウンサンスーチー氏は「言論の自由」の重要性を強調しつつ、仏教思想に基づく 「正しい発言」について主張します。

2012年4月1日の国政選挙でコームーにいる支持層を訪問するアンサンスーチー氏の訪問を見ようとトラック一杯になったミャンマーのNLD(国民民主連盟)支持者。(Photo by Paula Bronstein/Getty Images).

自由への戦いは「言論の自由」で始まるとミャンマーの民主化運動指導者アウンサンスーチー氏は述べます。本稿は、より自由に発言できる世界を目指し執筆された40周年記念号「検問時評」マニフェストシリーズの一部です。

天の賜物である話す力が、人類の意思疎通(コミュニケーション)にとって最も効果的な役割になっています。コミュニケーション能力を有することにより、時間・空間を越えた社会関係の構築、異なる文明や文化の理解、幅広い知識の習得、文化芸術の振興と科学技術の推進が可能になります。また対話は、相互理解を促進し民族・国家間の溝を埋めること、長年の対立に終止符を打つこと、国際関係の緊張緩和(デタント)の達成、そして新たに親睦を築くことの助けとなります。

話す事によって人間は考えや感情を明確にすることができます。言葉は感情を表現すること、見聞したことの記録、発想の実現化、そして未知領域への知的探求心の向上を可能にします。言葉は心を感動させ、視点を変え、国家や国民を強く動かすことができます。言葉は私たちの人間性を表す本質的な役目を持っています。言論と表現の自由を抑止することは、基本的権利である個人が持つ能力を最大限に発揮することを拘束します。

言論の自由は濫用される可能性があるでしょうか?有史以来、言葉は人を傷つけることも、癒すこともできると認識されており、私たちは言葉を正しく使用する義務があります。では「正しい」とは何でしょうか?十戒には、偽りの証言を禁止する教訓が含まれています。

話す能力を悪用して他人を欺いたり危害を加える行為は通常許されません。仏教では 「この世の邪悪な過ち」を引き起こす四つの言動があると説いています。それは、自分の為に故意に嘘をつくこと、その他の人や物の為に嘘をつくこと、団結する人々の間で不一致を作り、また対立関係にある仲を更に挑発したり慳貪にものを言い口汚く振る舞い他人の心に怒りや不安を招くような軋轢を引き起こす発言をすること、不得策で慎みのない悪意のある話にふけることなどです。

現代の法律は我々の先人の最大の関心事を反映しています。偽証、中傷及び侮辱、民族的憎悪、暴力扇動、これらすべては今日多くの国で犯罪として起訴されています。言論の悪用がもたらす悪影響は、言論の自由の抑制による有害な結果とは一致しません。

一般的に権力基盤の弱い社会において、言論の自由は既存の秩序への脅威として認識されます。時弊や不正に対して反対意見を発することが許されない場合、社会から建設的な変革や刷新に向けた活気のある勢いが奪われます。不道徳な影響から社会を表面上保護するはずの検問法は一般的には少しも実績を上げていません。最もよくある結果が革新的な思想を抑圧する不確実性と恐怖が蔓延した環境です。

表現の自由が基本的人権として認められるようになったのは、もっぱら20世紀に入ってからです。今日、言論·表現の自由は国連の人権宣言に署名している多くの国では依然として弱い状態にあるか知られてもいません。遠い昔のように権力と影響力がある地位にいる者たちが社会全体の不平や願いをはっきりと表現する自由に反対しているのです。

言論の自由より発言後の自由が最も重要であるということが正しく指摘されてきました。長い年月の間、権威主義支配下でミャンマー(ビルマ)民主化運動のメンバーは人権侵害と権力の濫用に抗議し処罰されてきました。発言した少数の人々は、服従を余儀なくされてきた大衆の無言の抗議を声に出して表していました。絶対的な力(制度・風習)に少数派として立ち向かうことは難しくはありません。私たちの言論の自由の擁護を強めたのは国内外で志を同じくする人々の団結力です。

表現の自由の擁護者は必然的に実践者でもあります。表現の自由を擁護したい者は原則として、自らが説くこと実践し公約を実証しなければなりません。私たちは言論の自由への権利のために声を上げたときに、それを行使し始めます。私たちは表現の自由の権利について記述するとき、それを実践し始めます。理論的に言論・表現の自由の擁護はできません、実際に擁護出来るのは実践だけです。

アウンサンスーチー氏は国民民主連盟の指導者です。彼女は1991年にノーベル平和賞を受賞しました。

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    The practice of freedom is important to every country.Democracy is the basic demand to people all over the world.

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言論の自由の討論はオックスフォード大学セント・アントニーズ・カレッジのダレンドルフ自由研究プログラムの研究プロジェクトです。www.freespeechdebate.ox.ac.uk

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